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うどん作りの最初の工程はネリです。讃岐うどん製法について、永年伝承された教えというものは殆どありません。その少ない製法の一つに「土三寒六常五杯」という小麦粉を捏ねる場合の塩加減、水加減を表す言葉があります。

これは春夏秋冬のそれぞれの季節の練り水の作り方のレシピです。「土」は土用の時期の真夏を表し、「寒」は真冬、「常」は春と秋の季節を表しています。その意味を詳しく説明すると、夏季は器一杯の塩を三倍の水で薄め、冬季は六杯の水で薄め、春と秋は五杯の水で薄めて練り水を作るという事です。

しかし、この教えはニガリを含んだ昔の塩を使用していた時代の事で、現在の塩は化学製塩法で精製するため塩の純度が高くなり、この「土三寒六常五杯」の教えは通用しません。現在は、塩の分量を量りで計量するか、ボーメ計などの計測器を使用して塩の濃度を計ります。

うどんのコシを強くするには塩の働きが重要で、塩はうどんを麺棒で延ばす時、いわゆる製麺時にも大変重要な働きをします。まずうどんのコシを強くする目的での塩の働きから説明します。小麦粉を捏ねる場合、塩は水に溶かして塩水として小麦粉に加え、小麦粉の成分である蛋白質(グルテン)を膨潤させ粘りを出します。

膨潤とは蛋白質が塩水を含む事を言い約3倍に膨らみます。そして塩の働きで蛋白質の粘りを引き出し、さらに力を加える事で蛋白質は強靭な網目状組織を形成します。その強靭な組織形成がコシを強くするという事になります。

そのコシは、ネリの段階でも構成され、その後の足踏みによりさらに強靭な網目組織となっていきます。塩が最も大切な働きをする事がその蛋白質(グルテン)の組織形成です。
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もう一つの働きは製麺時の麺生地の安定度、いわゆる年中同じ品質のうどんを作る為に塩の働きが重要であるという事です。塩は蛋白質(グルテン)を強靭にする説明をしましたが、夏季は気温が高いと麺生地が温度によりダレが起こり、粘りの無い状態となり、そのダレはコシの無いうどんとなってしまう為、いかにダレないようにうどんを延ばすかが重要なのです。

要するに温度が高い季節は麺生地がすぐダレる為、コシの無いうどんになり易く危険です。その気温から麺生地の状態を保ち、ダレないように引き締める役割が塩の働きです。

面倒な事に、逆に寒い冬季は塩の働きが強すぎると強靭な麺生地状態となり、いくら力を入れて延ばそうとしても麺生地がゴムのような弾力を持ち延ばしても縮んできます。従って冬季は塩の量を夏季(土三)の半分(寒六)にするのです。

道具も何もない時の生活の知恵として「土三寒六常五杯」という塩加減を表す言葉が生まれたものと思います。現在その割合で塩水を作ると濃度が濃すぎてとても使用できるものではありませんので注意が必要です。

現在の平均の塩の濃度ですが、夏季は12度ボーメ、冬季は8度ボーメ、春秋は10度ボーメが基本で、こればかりは何が正しいとは言い切れません。それぞれに自分の塩加減を自分自身の努力で掴み出している為、そこに個性のあるうどんが誕生している原因ともなっているようです。

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